2013-01-01から1年間の記事一覧

来年の

ネタ的に狙いはshear thickeningだろう。多重安定の系のsubcritical bifurcationというのではつまらないが。後、ガラス転移の場の理論もあるが難しい。

テーマ的に

目新しいのはクーロン摩擦のピストン問題であるが、これは昨年の末に予定していた通りである。まずまずは予定通り、それなりの結果が出ているが、突き抜けるものはないか。レーン形成は頓挫して、学生が学位を取れない状態になるとは予定外。他は少しづつ予…

今年に

publishした論文はPREが3つ、JSPが1つ、EPLが1つ、PofFが1つ, PTEPが1つで後はproceedingsが多数と、昨年に比べると質量とももう一つだった。特に9月以降に投稿した論文のレスポンスが芳しくないのが痛い。すんなり通った論文もあるが、投稿後長くかか…

大晦日

なので1年を振り返る。

「フラクタリスト-マンデルブロ自伝-」(B. B. マンデルブロ著、田沢恭子訳:早川書房)

フラクタルの提唱者のマンデルブロの自伝である。評者の研究の出発点がフラクタルにあっただけに、その開祖の興味深い評伝。ポーランド系ユダヤ人でありながらフランスで教育を受け、戦争に翻弄された前半生。またオーソドックスな数学を極める力がありなが…

「原子理論の社会史:ゾンマーフェルトとその学派を巡って」(M.エッケルト著、金子昌嗣訳:海鳴社)

原著は20年前に書かれたものだが翻訳が今年出た。偉大な教師としてハイゼンベルク、パウリ、ベーテ等を育て、前期量子論の主役だった人の評伝。彼の学問そのものをもう少し掘り下げて欲しかった気もするが、学派の興亡についてよく書かれている。ゾンマーフ…

「ヤルタからヒロシマへ」(M.ドブズ著、三浦元博訳:白水社)

原題はSix Months in 1945, FDR, STALIN, CHURCHIL AND TRUMAN - From World War to Cold Warであるが、この邦題は秀逸。著者はソ連生まれ在米ジャーナリストであり、大戦から冷戦の半年間の動きを、スターリンに警戒するチャーチル、融和的なルーズベルト、…

それにしても

忍者旋風:風魔忍風伝からカムイ伝にかけての作品の殆どを読んでいる事に改めて驚いた。70年代以降はテーマが移り、画も汚くなり、カムイ外伝もカムイ伝も焼き直しが多く、論評に値しない。

作品

の中で、一つのキーとなるのが強固な身分制度を固定した徳川家康が賎民(サラサ者)の出であるという日置藩の大秘事である。これは白土のオリジナルではないにせよ、極めてユニークな視点であり、昨年読んだ「河原ノ者・非人・秀吉」が展開した、秀吉は非人…

カムイ伝

について、多くを語る必要はないであろう。カムイ伝(第一部)は多くの人が指摘するように、そのパート3からはカムイは全く出てこず、全体を通しても「正助伝」と呼ぶに相応しい作品であろう。また過度にマルキズムが前面に出て、くどいまでの農本主義と、…

四方田

によるサスケの評価は低い。確かに画の統一性は見られないし、各挿話の多くは、他の短編で使われたものを寄せ集めたものである。更にラストはカムイ伝や忍者武芸帳と同様に一揆崩れの悲惨なものであるが、他の作品程凄惨な結末にはなっていない。寧ろ、小猿…

白土

の画は、時代と共に激しく変化している。手塚治虫でも、使えるペンが増えたせいもあり戦後直ぐから50年代迄と60年代後半以降の画は大きく変化している。白土はそれ以上に大きな変化があったのは長年の謎であったが、赤目プロの合作、というより、白土は60年…

四方田

の本は、白土の生涯だけでなく、その作品の詳細を追いながら、見事に白土三平像を浮かび上がらせている。専門家から見ると不正確な数字、記述が散見されるようである(私も「ワタリ」はテレビ化されていないのに変だと気が付いた)し、その作品を詳細に説明…

白土三平論

四方田犬彦の「白土三平論」を読む。言うまでもないが、白土は60年代後半に最も人気のあった漫画家の一人であり、同時に70年代になって暫くの断筆もあり、急速に求心力を失った漫画家でもある。かく言う、私も三大長編の一つである「サスケ」をテレビで視、…

筆者が

純粋な中学生だった頃、英語が世界言語になったのは大英帝国の過去の悪行の賜物であるから植民地主義の証である英語なぞ勉強する必要がない、と勉強をサボる怠惰な行為の自己正当化をしていた。その甲斐もあって?英語は取り返しのつかない苦手科目になって…

科研費プロポーザル

をFuchsに貰ったのだが、それについて書き記しておこう。これは日本の新学術に対応するNonlinear Response for Probe VitrificationというPI13人及び9つのグループから成る大きな研究グループの集まりである。このうち、今回のホストでもあったFuchsは全体…

ゲッチンゲン

には昼飯前に着き、早々に我々のMCTについての議論が始まり、またTill Kranzがやっている剪断系の計算の紹介もあった。私が理解した限りはTillの計算はSuzuki-Hayakawaで衝突を非弾性に変えたものに対応しそうで、熱浴とのカップリングがある限りはクロス相…

ケルン

ミュンスターからケルンへはSperlが車で連れて行ってくれた。しかし時折180km/hに達する運転は助手席に乗っていて怖いものであった。またケルンからゲッチンゲンへの手配は何もされていない事が分かり、仕方がないのでドームを観光しがてらケルン中央駅で翌…

Glastag

とは直訳したら「ガラスの日」となるが、基本Fuchs等が率いる科研費の集まりであり、その相互成果報告の機会であるように思われた。しかし、私を含めて何人かの外国人もいて50人余りの参加者の割にしっかりした研究会となっていた。私の発表はバルセロナ同…

コンスタンツでの暮らし

で、(火曜の会食を除き)夕食を食べる場所とスーパーを見つける事に困った。結局、スーパーは隣のモールの地下にあったのだが祝日(木曜)は閉まっていて、離れる前日の土曜に見つける始末であった。夕食は4年前のインド料理屋の他、中華、中華のファース…

コンスタンツ

は、出張の発端だけに長めの滞在になった。到着したのが先週の月曜の夜で、日曜の朝迄居た。しかし先週の木曜が祝日で、大学が不便な山の上にあるので土曜も街と宿でウロウロしていたので実質的なワーキングデーは3日間に過ぎなかった。火曜は行っていきな…

鉄道

今回の出張の特徴の一つはドイツを南から北迄、ドイツの鉄道を乗り倒す事になった点である。通常、コンスタンツへはチューリヒから入るが、ドイツを渡り歩くのでFuchsに相談した処、フランクフルト空港から鉄道を使うのが良いだろうという彼の勧めに従った。…

元のプラン

では来週にドレスデンでnon-equilibrium statistical mechanics in small systemsの面白そうな会議があったのが発端で、昨年末にFuchsが日本に来た時にKonstanz訪問とその会議の出席を合わせてドイツ出張を計画した。ところが、メモしていたdeadline of appl…

9月30日

から10月12日迄、(コンスタンツ、ミュンスター、ケルン、ゲッチンゲンの諸都市を巡り)ドイツ出張を行ったので、ドイツ滞在の最後の晩に簡単にその内容をまとめておく。(おそらく事務書類を書かねばいけないだろう)。

IDMRCS

という会議がバルセロナで7月21日から26日まであり、招待されたので参加してきた。先々週のP&G2013, 先週の主催研究会PGGMに続いてであり、出発はPGGMの翌日という慌ただしさでもあり(それどころかモレキュールを含めると5週連続)、色々不安があった。しかし…

最終日

NGの話は何時ものムービーから始まったが、最後には最近の進展も含めた構成は見事だった。RBのEdwards ensembleがカノニカルに対応しているので体積揺らぎが必要で、等積系はミクロカノニカルに対応するというコメントは納得した訳ではない。ミクロカノニカ…

4日目

学生は燃え尽きたのか朝に起きてこなかった。この日の劈頭を飾るPNの話は中々面白かった。ずりをかけるとJanssenの法則と反対に圧力が指数関数的に大きくなるのは知らなかった。僕の講演には当初2つの余りピントの合っていない質問があっただけなのでこんな…

この日

はクルーズのため半日プログラム。S君のトークは聴衆を笑わす仕掛けも十分で、良い講演に思えたのだが、老大家から、その結論は誤りだと、決めつけられて可哀想だった。Jeagerを意識し過ぎて誤解を招く表現になっていたかもしれない。クルーズは良く揺れて寒…

2日目。

6時45分に起きて6時55分は間に合わず7時位にホテルロビーに。結局、一人の学生が来ず、2人で会場に向かう。1時間はたっぷりかかって、その遠さを改めて痛感。 ODの話に特に新しさはないが、定常剪断と(十分ゆっくりした)振動剪断の差が気になる。個人的に…

シドニー

は矢張り寒い。学生二人と乗った会場までのタクシーは25AUDもしてちょっと不機嫌。飛行機で眠れなかったせいもあって、初日の講演を殆ど聴く事が出来ず、初めてと言っても良い程良く寝落ちした。それがなくても、招待講演が30分、一般講演が15分で隙間なく埋…