「ヤルタからヒロシマへ」(M.ドブズ著、三浦元博訳:白水社)

原題はSix Months in 1945, FDR, STALIN, CHURCHIL AND TRUMAN - From World War to Cold Warであるが、この邦題は秀逸。著者はソ連生まれ在米ジャーナリストであり、大戦から冷戦の半年間の動きを、スターリンに警戒するチャーチル、融和的なルーズベルト、敵視したトルーマン等を中心に据え、原爆は対ソ交渉の切り札という史観に貫かれながら丹念に描いている。首相の靖国参拝に対する反応を見ても、ヤルタ体制は未だ健在である。