2010-01-01から1年間の記事一覧

結城浩著「数学ガール(1-3)」

学問のプロから中学生迄喜ばせる啓蒙書を書くことは常識的には不可能であるが、それをやってのけた稀有の書がこれである。学園ロマンス物の舞台設定もうまく、説明も簡潔にして要を得ているばかりか、論理と説明に穴は見つからない。評者が特に感心したのは…

グレアム・ファーメロ著吉田三知世訳「量子の海、ディラックの深淵」

The strange man The hidden life of Paul Dirac, Quantum genius 原題の方が簡潔にして要を得ている。天才にして寡黙な変人ディラックの逸話は広く人口に膾炙しているが、その実像に踏み込んだ本は寡聞にして知らなかった。本書はディラックの生い立ち、家…

学位論文提出

齊藤君の学位論文を受け取った。明日の会議で審査要件を充たすかどうかをチェックした後、年末に公聴会を開くことになるだろう。学位論文は学生の今迄やってきたことの集大成だけに提出には感慨があるが、齊藤君は修士号取得後に2年間の会社勤めをしてから再…

昨日、各省庁が要望額で出した政策コンテスト(元気な日本復活特別枠に関する評価会議)の結果発表があり、文部科学省関係の申請は全てB評価、C評価の憂き目を見た。政策コンテストへのパブリックコメントは文科省関係が圧倒的に多く、その事業を支える声が…

白鵬

の連勝が遂に千代の富士を越して54になった。もはや上には双葉山の69, 谷風の63、梅ヶ谷の58、太刀山の56を残すのみである。双葉山以外は大正以前であり、引き分けや預かりを含んだりするので比較対象にならないことが多いので歴代2位という言い方も可能であ…

釜山

川崎先生80歳の誕生日を祝った会議。行きは台風の余波で飛行機がジェットコースターのように急降下したりした。そのせいかすっかり酔った。何とか着陸してやれやれと思ったが本調子には程遠く、バスに乗ったらまた戻しそうになった。 会場は、釜山の東にあ…

大学院入試

の業務が木曜に漸く終了した。今年はこれですっかり消耗した感がある。それはともかく今年は潮目が変わった感もあった。驚いたのは第二教室の志願者が減って、今年の受験者はほぼ第一教室と変わらなくなったことである。得点でも第一は負けていないが、これ…

国際会議や研究会

が夏から秋にかけて目白押しである。私が組織委員に加わっているのだけでもStatistical physics and topology of polymers with ramifications to structure and function of DNA and proteins , Physics and Chemistry in Quantum Dissipative Systems, 非…

PTP Supplement No.184

が出版された。ここ。オープンアクセスなので誰でもどこからでも読むことができる。統計物理の最前線を知るには最適だろう。惜しむらくは出版が遅れたこと。昨年夏の会議録であるので春には出版したかったが、10月末〆切はきつく、論文の一つであるOtsuki-…

ポスターセッション

初日のポスターセッションで驚いたのは齊藤さん、Brilliantov, Bodrovaと書いた論文に対応する実験のポスターがあったことである。その他、Clementの縦振動のジャミングの実験が面白かった。彼に限らず有名人やスピーカーがポスターを多数出していたので僕も…

4日目

燃え尽きた感もあり、更に早く目が覚めて寝不足であったためにもう一つ楽しめなかった。Morning session: packingsではfludized bedを使ったSchroeterとoscillatory shearを使ったAnki Reddyが似たよう結果(密度がRCP近傍のプラトーを経て更に密度が高くなる…

3日目

Morning session: jets and splash は面白いセッションだった。van der MeerのThe role of air in granular dynamicsは粉体に球がぶつかって沈んでいくときに圧力変化やジェットがどのように出来るかを実験と理論解析を組み合わせてよく練られた講演で発表し…

2日目

Dense flows: new consitutive formulationsでは、Blumenfeldのda Vinci fluidの話が面白かった。2月の時点では単なるお話だったが、形になってくると説得力と将来性を感じさせる。モデル自体は誰でも考えそうな話なんだが、きっちりとした形に仕上げること…

物理の内容

について。最初のセッションはLocomotion and self-propulsionということで所謂アクティブマターが対象だった。最初のGoldmanの講演タイトルはswimming in sandとどっかで聞いたことがあるものだったが、内容的には連続極限が取れる程沢山の体節を用意して蛇…

Gordon Research Conference終了

で既にPortlandのホテルのチェックインして後は帰るだけ。ということで備忘録を兼ねて今回の出張がどうであったかを簡単にまとめておこう。まずアメリカ入国の際に脇の部屋に連れていかれてぎょっとしたことを書かねばならない。だからどうという訳でもない…

今日

は今村さんのセミナー。川上さんの修士論文で論じたAnderson modelの厳密解を非平衡へ拡張した話。今は相互作用の展開になっているが、近藤効果との関連も興味深い。

明日から

Gordon conferenceとClark Universityでのセミナーのために出張。27日に帰国予定。前者のスライド数が多すぎで困った。GRCには相当数の知り合いと業界の大御所が結集しているので楽しみではある。

田崎秀一さんを悼む

先程、早稲田の田崎秀一さんが亡くなったとの報に接し、呆然としている。田崎さんは学会や研究会にはあまり出席をされないが、統計力学の基礎に通暁しており深い洞察から重要な貢献を行い、同じ分野の信頼できる先輩であった。数年前から体調を崩して入退院…

論文

を投稿(これ)。反発係数が負になることを数値計算で見出し、理論計算で良く説明した。

運営協議会

が開かれ、副議長席に収まる。柄にもなく緊張し、疲れた。重要な議題は2つあったが、そのうちの一つはPTPの刊行移行に関するもの。既に岡山大学の学会総会で2013年春のPTPの物理学会(IPAP)への移行が決まっているが、もう一つ重要なのは2011年春までに名称…

今日も

東京で物性委員会幹事会。何ともはやという展開に流れていたが最後の方で何とか落しどころがあった感だった。 そこで理研の先生と物理の議論を少し。セミナーをお願いすることにした。 物性委員会に参加する前に東大で11月18日から20日の基研研究会「非平衡…

清水さん

の集中講義1日目。70人程度収容できるK206が溢れたので急遽パナソニックホールに会場を変更。先週、危ない予感がしたのでパナソニックホールを仮抑えしておいたことが功を奏した。先月22日の国広さんのレクチャーもパナソニックホールに大勢を集めて凄いと思…

Isaac Goldhirsch

が急死したとのこと、ショックである。YKISで最も活発に発言をして他の分野の人にも強い印象を与えたことは記憶に新しい(田崎さんの日記にも取り上げられている)。その後、9月のイタリアの会議でも元気なところを見せて我々の定式化に興味を持ち事細かに…

暫く

間が空いた。今のところ副所長業に忙殺される訳でもないが、副所長になって他の雑務が免除される訳でもなく確実に時間が奪われている。元気な新人も入ってきたので、今年度こそは頑張りたい。 さて木曜には巷で話題になっている国広さんの相対論流体のセミナ…

4月1日

になって早速、研究室に新人その1が現れた。私は副所長になってしまったが、今日はその業務はなく、ここのところ毎日長時間にわたって拘束されているGCOE関連の会議が3つあって、それで1日潰れてしまった感がある。

ゲラ刷り

はこの論文。DoiもついてEur. Phys. J. Special Topics 179, 179-195 (2009)というページもついている。2009年っておかしいだろう。

グラフェン論文

がpublishされた(ここ)。加熱するところが面白いのではないかと思う。今日もいくつかグラフェンの面白げな論文は出ていたが、我々にこの先があるかどうかは分からない。

学会終了

元から体調が余り良くなかった上に乾燥と寝不足とお酒に喉をやられて辛い。発表は最終日のドン欠に近かったのでボルテージが上がらないし、結果も自明っぽかったので何か時間が余ってしまった。質問を待たずに思わず電源を切ってしまったが、意外にも反応が…

今日は

H. G. Wellsの子孫であるJohn Wells(立命館)のセミナーだった。このセミナーで彼は粘性流体中で粒子が衝突可能かというパラドックスに正面から取り組んだ研究成果を報告してくれた。少なくともStokes流の厳密解では互いに慣性を持って近づくハードコア球はギ…

本日は

「プラズマ生成・電離過程に関わる突発性と構造形成」という小さな国際会議で話をしてくる。元から全然関係ないテーマなので完全に浮いていた。それでもイントロでは予想以上に食いつきがよく嬉しい悲鳴。しかし、後半は予想通り?聴衆が落ちこぼれてしまっ…