IDMRCS

という会議がバルセロナで7月21日から26日まであり、招待されたので参加してきた。先々週のP&G2013, 先週の主催研究会PGGMに続いてであり、出発はPGGMの翌日という慌ただしさでもあり(それどころかモレキュールを含めると5週連続)、色々不安があった。しかし総体的に言って参加する価値がある研究会であったと思う。

一つにはその参加者の数である。700人以上の参加者ということはガラス関係はもとよりジャミング関係の重要人物は殆ど参加していた印象があり、それ故に最先端の質の高い議論が行われていた。また、Parisiが最前列に陣取って熱心に聴いたり、参加者と熱のこもった議論をするのを見ると身の引き締まる思いがした。量が質を作り上げるというべきか。

二つ目にはフランスとドイツの際立った違いが印象的。レプリカを始めとする平衡統計力学の手法を駆使して実験ではアクセスできないカウツマン転移に迫ろうとする前者と、頑なにMCTに拘りながら着実に実験と対応する結果を出し続ける後者の対比は興味深い。

また、ガラス研究者の多くがアクティブマターに興味を持ちつつも、和田さんのようなプロの研究に比べて、その研究の底の浅さを晒す結果になった点も印象深い。

同時に一連の研究会シリーズで驚くような発表はなかったと思う。それは常に研究会にで続けているからある程度当然の事である。それにしても朝8時半から晩の8時過ぎまでビッチリとスケジュールが組まれ、それにもかかわらず前半ではパラレルセッションを渡り歩くため幾つかの興味ある講演を聞きそびれたのは残念であった。

私個人としてはMCT講演が一定の評価を受けた点で意義深い。中国では未だ実験結果の予言能力がなかったが、モレキュールのあいだに不完全ながらも一応の完成と密度シフトによって粘性率の増加を定量的に再現出来た事が大きい。そのせいか、10月のドイツツアーはMCT一色になりそうである。

その他、ジャムドソリッドのレオロジー、特にシアシックニングを再考する時期に来た点も印象付けられた。剛性率の発生が並進対称性の破れに由来するにであるから、ジャミングのもう少し秩序立った理論的手法も可能ではないかと思わせる。この分野はこれからが大事という思いを強くした。

個人的にほほえましかったのはDurianとAndrea Liu夫妻のお嬢さんお二人に会ったことである。