2013-12-28から1日間の記事一覧

「フラクタリスト-マンデルブロ自伝-」(B. B. マンデルブロ著、田沢恭子訳:早川書房)

フラクタルの提唱者のマンデルブロの自伝である。評者の研究の出発点がフラクタルにあっただけに、その開祖の興味深い評伝。ポーランド系ユダヤ人でありながらフランスで教育を受け、戦争に翻弄された前半生。またオーソドックスな数学を極める力がありなが…

「原子理論の社会史:ゾンマーフェルトとその学派を巡って」(M.エッケルト著、金子昌嗣訳:海鳴社)

原著は20年前に書かれたものだが翻訳が今年出た。偉大な教師としてハイゼンベルク、パウリ、ベーテ等を育て、前期量子論の主役だった人の評伝。彼の学問そのものをもう少し掘り下げて欲しかった気もするが、学派の興亡についてよく書かれている。ゾンマーフ…

「ヤルタからヒロシマへ」(M.ドブズ著、三浦元博訳:白水社)

原題はSix Months in 1945, FDR, STALIN, CHURCHIL AND TRUMAN - From World War to Cold Warであるが、この邦題は秀逸。著者はソ連生まれ在米ジャーナリストであり、大戦から冷戦の半年間の動きを、スターリンに警戒するチャーチル、融和的なルーズベルト、…