2013-12-01から1ヶ月間の記事一覧

来年の

ネタ的に狙いはshear thickeningだろう。多重安定の系のsubcritical bifurcationというのではつまらないが。後、ガラス転移の場の理論もあるが難しい。

テーマ的に

目新しいのはクーロン摩擦のピストン問題であるが、これは昨年の末に予定していた通りである。まずまずは予定通り、それなりの結果が出ているが、突き抜けるものはないか。レーン形成は頓挫して、学生が学位を取れない状態になるとは予定外。他は少しづつ予…

今年に

publishした論文はPREが3つ、JSPが1つ、EPLが1つ、PofFが1つ, PTEPが1つで後はproceedingsが多数と、昨年に比べると質量とももう一つだった。特に9月以降に投稿した論文のレスポンスが芳しくないのが痛い。すんなり通った論文もあるが、投稿後長くかか…

大晦日

なので1年を振り返る。

「フラクタリスト-マンデルブロ自伝-」(B. B. マンデルブロ著、田沢恭子訳:早川書房)

フラクタルの提唱者のマンデルブロの自伝である。評者の研究の出発点がフラクタルにあっただけに、その開祖の興味深い評伝。ポーランド系ユダヤ人でありながらフランスで教育を受け、戦争に翻弄された前半生。またオーソドックスな数学を極める力がありなが…

「原子理論の社会史:ゾンマーフェルトとその学派を巡って」(M.エッケルト著、金子昌嗣訳:海鳴社)

原著は20年前に書かれたものだが翻訳が今年出た。偉大な教師としてハイゼンベルク、パウリ、ベーテ等を育て、前期量子論の主役だった人の評伝。彼の学問そのものをもう少し掘り下げて欲しかった気もするが、学派の興亡についてよく書かれている。ゾンマーフ…

「ヤルタからヒロシマへ」(M.ドブズ著、三浦元博訳:白水社)

原題はSix Months in 1945, FDR, STALIN, CHURCHIL AND TRUMAN - From World War to Cold Warであるが、この邦題は秀逸。著者はソ連生まれ在米ジャーナリストであり、大戦から冷戦の半年間の動きを、スターリンに警戒するチャーチル、融和的なルーズベルト、…

それにしても

忍者旋風:風魔忍風伝からカムイ伝にかけての作品の殆どを読んでいる事に改めて驚いた。70年代以降はテーマが移り、画も汚くなり、カムイ外伝もカムイ伝も焼き直しが多く、論評に値しない。

作品

の中で、一つのキーとなるのが強固な身分制度を固定した徳川家康が賎民(サラサ者)の出であるという日置藩の大秘事である。これは白土のオリジナルではないにせよ、極めてユニークな視点であり、昨年読んだ「河原ノ者・非人・秀吉」が展開した、秀吉は非人…

カムイ伝

について、多くを語る必要はないであろう。カムイ伝(第一部)は多くの人が指摘するように、そのパート3からはカムイは全く出てこず、全体を通しても「正助伝」と呼ぶに相応しい作品であろう。また過度にマルキズムが前面に出て、くどいまでの農本主義と、…

四方田

によるサスケの評価は低い。確かに画の統一性は見られないし、各挿話の多くは、他の短編で使われたものを寄せ集めたものである。更にラストはカムイ伝や忍者武芸帳と同様に一揆崩れの悲惨なものであるが、他の作品程凄惨な結末にはなっていない。寧ろ、小猿…

白土

の画は、時代と共に激しく変化している。手塚治虫でも、使えるペンが増えたせいもあり戦後直ぐから50年代迄と60年代後半以降の画は大きく変化している。白土はそれ以上に大きな変化があったのは長年の謎であったが、赤目プロの合作、というより、白土は60年…

四方田

の本は、白土の生涯だけでなく、その作品の詳細を追いながら、見事に白土三平像を浮かび上がらせている。専門家から見ると不正確な数字、記述が散見されるようである(私も「ワタリ」はテレビ化されていないのに変だと気が付いた)し、その作品を詳細に説明…

白土三平論

四方田犬彦の「白土三平論」を読む。言うまでもないが、白土は60年代後半に最も人気のあった漫画家の一人であり、同時に70年代になって暫くの断筆もあり、急速に求心力を失った漫画家でもある。かく言う、私も三大長編の一つである「サスケ」をテレビで視、…