白土三平論

四方田犬彦の「白土三平論」を読む。言うまでもないが、白土は60年代後半に最も人気のあった漫画家の一人であり、同時に70年代になって暫くの断筆もあり、急速に求心力を失った漫画家でもある。かく言う、私も三大長編の一つである「サスケ」をテレビで視、また漫画を愛読した一人である。また高校時代にカムイ伝(第一部)を全部揃え、また「忍者武芸帳影丸伝」を始めとしたその他の多くの時代漫画を熱狂的に読んだ。容易に分かる通り、漫画界においても白土のアシスタントであった小島剛夕や、矢口高雄つげ義春石森章太郎島本和彦等に強い影響を与えた。おそらく「伊賀の影丸」等で人気が出た忍者漫画、時代漫画を完成させた漫画家であり、同時にその作品の強烈に現れるマルキズム故に、学園紛争時に熱狂的に迎えられ、左翼運動の退潮と共に急速に忘れられた漫画家である。