反響

 今回の滞在中にMCTの1時間トークと揺らぎの定理の30分トークの2つをしたが、前者の反響は全くなく、複雑な計算をご苦労様、役に立ちませんね、というものであった。単に密度相関関数だけでなくレオロジーについてより積極的な予言が出来ないと苦しい。それでも滞在中に共同研究者が頑張ってbelow jammingではkinetic theoryよりましっぽい理論になっていることを示したのは意味のある一歩であった。しかしジャミング転移を何等かの意味で理論的に説明できないと苦しいのは間違いない。Sperlも興味があるのかないのか、議論をしたいような避けているような中途半端な印象がある。

 一方、後者のゆらぎの定理は今迄の歴代トークの中でも最も反響があったものの一つになった。長い時間をかけて論文を用意したので自明っぽく見えて仕方がなく、PREに投稿したが、これはPRLでもいけたかもしれなかったので少し後悔。特に実験家が強い関心を示したのが良かった。(これは殆ど今迄になかったこと)。実験家のCK ChanやToとは突っ込んだ議論が出来たし、FalconやBandiとも議論でき、今日になってJie Zhangが詳細を知りたがって、来年上海に呼んでくれるとの話になった。この話は論文で終わりではなく、断熱ピストン同様、観測物体の運動の理論に焼き直す必要がある。

 今年の夏はMCTツアーがシドニーバルセロナ、ドイツとあるがネタの取捨選択を誤ったか。MCTも一皮剥ける必要がある。