筑紫哲也

の図書での連載「緩急自在のすすめ」はなかなか面白い。今月号は長寿と「人間の豊かさ」についてであった。そこでも沖縄の男の平均寿命が急激に落ちているというよく知られた統計事実から何が長寿にとって重要であるかを鮮やかに抜き出している。筑紫のテレビは賛否両論があろうが、ジャーナリストとしての腕は確かである。朝日ジャーナル編集長時代の辣腕ぶりはつとに知られる。僕が愛読していたのはむしろ筑紫より後の時代かもしれないが、編集長が変わった時点で劇的につまらなくなって間もなく読むのをやめた。程なく朝日ジャーナルは廃刊になったがむべなるかなである。

雑誌が劇的につまらなくなるというのはしばしば編集方針の変更に伴って起きる。中央公論はそれこそ毎月隅から隅まで6年ほど欠かさず読んでいたが、あるときに急激に劣化して、これは駄目だと判断し読まなくなった。そこから読売のナベツネの支配を受けるまでには時間があったが、取り返しのつかない瞬間があるのは間違いない。

最近ではAERAがどうしようもない雑誌になっている。もともと中身のない雑誌だったが、それでも視点のおもしろさは光るものがあった。最近はワーキングミセスの雑誌(というか写真漫画)になりさがっている。

他に悪貨が良貨を駆逐する例もある。鮮明に覚えているのは「自然」がニュートン、オムニ他のビジュアル系ナンセンス科学雑誌に駆逐されて廃刊になったときである。科学朝日もビジュアル化して廃刊になった。

大体下らなくなるのは時代に迎合した瞬間であろう。