そもそも

この論文での貢献は1988年の修士論文を発掘し、著者のチームに教えた事に尽きる。実際、修士論文は4つの原著論文と1つのproceedings論文から成り、その提出後、博士後期課程に進む迄に新ネタに関するもう一つの原著論文を書き上げた。修士の頃は幾らでも論文のネタはあり、幾らでもオリジナルな計算が出来た。今とはえらい違いである。その修士論文の中で未発表の計算内容が今回使われたのである。そのモデルは衝突によって凝集するが、ある確率でバラバラになってしまう、その時のクラスターの定常分布を解析的に求め、分裂確率が小さい極限でべき的なサイズ分布になり、その指数は凝集確率のパラメータによって決まる事を示した。かなり綺麗な結果ではあったが、凝集確率がサイズによらないとした時を少し一般化しただけなのと、(結果として良かったのか悪かったのか分からないが)博士後期課程から大学を移って新しい研究内容にシフトしたためにお蔵入りになった。