「永久運動の夢」

アーサー・ヒューム著、高田紀代志・中島秀人訳(ちくま学芸文庫2014)。無から有限のエネルギーを取り出せない事を学問として定式化したものが熱力学であるが、その成立以前は勿論、成立以後にも綿々と永久機関の夢を描き設計を試みてきた人達が多数居た。数々の精緻にデザインされた尤もらしい第一種永久機関もさることながら、少数ながら存在する第二種永久機関のデザインは講義で使えそうな現代性を失わない。まして、「マクスウェルの悪魔」が現代物理に甦り、そのフィードバック制御の熱力学という新しい学問が急速に進展する昨今に永久機関の歴史を振り返る事は重要である。