研究会案内

2005年以来開いてきた「ミクロ・マクロ双対性」関連の研究会も
今年で5回目になりますが,今回は異なるスケールの間の関係
にも視野を拡げようとの意図を込めて,
「量子科学における双対性とスケール」
というタイトルでのRIMS(京都大学数理解析研究所)共同研究会及び京都大学基礎物理学研究所研究会を開くことに致しました。

日程は

2009年11月4日(水)〜6日(金),

会場は,数理研の建物の耐震補強工事のため,基礎物理学
研究所のパナソニックホールにて基研研究会として開催することになりました。

皆さまの積極的なご参加によって,有意義な研究会になれば,大変
嬉しく存じます。奮ってご参加下さるよう,よろしくお願い致します。
(このメールの末尾に,研究会趣旨をコピーします)

なお,事務手続きの関係上,旅費を支給させて頂く参加者の方々の
リストを数理研共同利用掛に提出せねばなりませんので,

講演の有無,その題名と共に,旅費の要不要等

を明記した参加申込みを,下記要領で9月25日までに

小嶋泉宛(ojima@kurims.kyoto-u.ac.jp)

でご返信下さるよう,お願い申し上げます。
(なお,予算について率直のところを申し上げますと,使い残しの場合
には「注意」を受けることになります。ご希望頂ければ「必ず」,という
お約束はできませんが,講演希望の有無に関わらず旅費支給の必要
な方は,遠慮せずにお申し出頂けると助かります。)

もう1点,11月の京都は秋の観光シーズン中ですので,宿泊の予約は
なるべく早目にして頂きますよう,よろしくご配慮お願い致します。

以上の点,よろしくお力添え下さるよう,心よりお願い申し上げる次第です。

世話人:細谷暁夫/森川雅博/筒井 泉/堀田晶寛/
早川尚男/佐々木隆/谷村省吾/小嶋 泉

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==RIMS 共同研究&基研研究会「量子科学における双対性とスケール」への参加申込み==

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研究会の趣旨:
物理現象の数学的な記述・理解に関わる従来の標準的方法論は,理論
展開の統一的普遍的出発点となるミクロ(量子)系を直観的帰納的に探り
当て,そこからの厳密な数学的演繹的理論展開によって,実験的検証が
可能な諸帰結を導出することに主眼を置く。そこでの理論的出発点が一意的
に定まるなら,その探究過程を直観的帰納的推論に委ねても問題ないが,
実験的検証とその精度の有限性に関わる諸制約のため,一意性は期待でき
ない。従って,不可視のミクロ動力学が如何に可視化=マクロ化するか?と
いうミクロ→マクロ方向の演繹的推論だけではなく,マクロデータとその幾何
構造・制御変数から,それらを産み出したミクロ系を適用限界と整合する形で
理論的に再構成し,動的マクロ過程の再現・制御が可能になるように「逆問題」
を理論的に考察することが不可欠である。
この目的のため,「ミクロ・マクロ双対性」の方法論は,群とそのフーリエ双対
やそれらの環作用に伴う接合積構成のガロア的双対性を系統的に動員した
方程式論的視点に立って,上記問題の理論的統一的扱いを目指す。このような
視点からの見直しにより,この数年間,量子場理論・量子統計力学,量子確率
論・量子情報理論等々における基本的諸問題に新たな検討が加えられ,
エントロピー概念とその加法構造をスケール変換の視点から見直す課題を含めて,
多様な理論展開がなされてきた。そうした文脈で,マクロ時空の幾何構造をミクロ
の物理的過程からの創発としてその物理的出自を明らかにし,そこから局所ゲージ
構造,紫外発散とくりこみ理論の物理的本質を明らかにする課題や,カラー閉込め
の問題,異なるスケールレベルでの諸理論相互の関係に対する変形論的アプローチ
等々の解明が,今後この立場から解決を目指すべき基本的諸問題である。関連した
個別分野の幾つかのテーマをとり上げながら,このような一連の課題を掘り下げる
ために共同研究を行う。