集中講義二日目

午前はBoltzmann方程式とFDR violation. 後者はHamilton系からLangevinの導出やHarada-Sasa(というよりDeutsch and Narayan)を無難にこなす。午後はロングタイムテールの話をしていたら、説明もぐだぐだだったような気がしたが、あっという間に終わって一瞬途方にくれた。Prigogine=Petroskyの話は準備不足で話さないことに決めていたので粉体系でのロングタイムテールと粘性率の意味の話に急遽切り替える。粉体の話は勿論何の問題もないがせん断系と自由冷却でロングタイムテール、2次元での輸送係数の存在、長距離相関の有無等全く違うものであることを説明した。ハドロンでもInelastic scatteringは多々生じるので同じような現象はきっとあるに違いない。まとまりのない話であったが、解決すべき問題が何であるか、どのように変わると期待されるかということについては触れられたのではないだろうか。

 講義はインフォーマルなものにであるにもかかわらず大勢の出席者があった。その中には阪大からの参加者もあって驚いた。(帰途で彼はお世辞にせよ非常にためになったとコメントしてくれたので嬉しかった)。また核の人ばかりかストリングの研究者まで非平衡プロセスに興味をもってくれて熱心に講義を聴いて頂き、いろいろ議論できたのは得がたい体験であった。更に板倉さんがここ数年で非平衡物理の様相が一変した印象を持っていると語って下さったことに心を強くした。確かに少なくともハドロン物理に関連した非平衡現象は多く、研究すべきことは多々あるのではないかと思う。