荒川の金メダル

は予想以上であった。この結果は日本以外では驚きをもって迎え入れられたことに違いない。もっとも最終組前の練習でコーエンがジャンプで2回転倒したのを見て、銀以上であることを確信していたのだが、まさかスルツカヤまで転倒(とミス)するとは思わなかった。村主もいい出来であったので、(いくら基礎点が低くても)コーエンの上に行くと思っていたのだが惜しい4位であった。荒川の演技とそれを実行した精神力は素晴らしく文句なくの優勝であった。

ここ数年無敵の強さを誇ったスルツカヤが銅に終わり、素晴らしいフリー演技をしながらソルトレークで4位と涙を呑んだコーエンも軸足を痛めたのか2回の転倒によって銀に終わったのを見ても金を取ることが如何に難しいかよくわかる。前回、アメリカにいたときにはミス・パーフェクトと呼ばれたミッシェル・クワンがオリンピックの週のTV guideの表紙を飾っていた。その人気選手だけに彼女がフリーで大きなミスをして瞬間に会場になんとも言えない落胆のため息がおこり結局、銅に終わった。彼女は長野でも伏兵のリピンスキーに金をさらわれ、世界選手権で5回優勝しても金には届かなかった。スルツカヤソルトレークのまさかの銀に続いて、(コーエンのミスもあって)確実と思われた金が掌中からこぼれ落ちた。この2人の女王はおそらく引退であろうがオリンピックに縁がなかった二人でもあった。コーエンも無冠のまま引退するのであろうか。少なくともオリンピック後はシニア大会に本格参入する浅田等の若い世代の時代になるのは間違いない。