Bagnold

の議論が漸く合意に達して終結する。結局のところ双方は最初から同じことを言っていて噛み合っていなかったのだが、成立の前提条件についてもう少し最初から話しておけばよかったのかもしれない。

どちらにせよ斜面流と(一定体積でのガス系での)単純剪断は随分違うことが浮き彫りになった。斜面流は粒子個々に重力がかかって、滑り落ちることで運動エネルギーを獲得するが、単純剪断では壁からしか熱としてのエネルギーの流入はない。また定常状態では壁に垂直な流れは存在しないので単純剪断ではエネルギー輸送には熱伝導が必要であり、それがBagnold scalingの前提条件=熱伝導が無視できる、を壊してしまう。一方、斜面流では熱伝導なしでもエネルギーは常に供給されていて熱伝導が無視できるような状況が実現し得る。そうするとBagnold scalingが成立しても不思議ではない。結論から言うと極めて簡単な話だったが、こういう結論にたどり着くまでに随分時間がかかってしまった。

追記:単純剪断でも定圧系であれば、まだBagnoldが存在するか否かについての決着はついていない。定体積系であってもLee-Edwardsのような特殊な境界条件を選び、密度揺らぎが小さくなるような高密度系であればBagnoldが成立してもおかしくない。後者の系については御手洗さんが研究をしており、結果の報告が待たれる。