雑感

(暑いせいか時差のせいか)変な時間に目が覚める。

PG2005に参加しての雑感の続きである。日本の粉体研究は個々の研究についてはそれなりのレベルにあるが、全体としての印象が薄い。ちょっと前のITPの研究会のオーラルで御手洗さんが発表し、注目を集めた程度である。彼女にしてもコンスタントに招待講演を行なっている訳ではない。

日本の弱点ははっきりしている。欧米で常に招待講演を行なう一群の人々は蜘蛛の巣のような共同研究ネットワークが出来て活発に情報交換を行ない、その中で随時研究ユニットを立ち上げて実験、シミュレーション、理論も分業して論文を一緒に書いている。一方、日本では大学の研究室の枠を越えた共同研究すら稀であり、理論、実験、シミュレーションはばらばら或いは家内工業的に中途半端なレベルで自前で行なっているのが実情である。更に各自の所属団体がばらばらで国内での情報交換の機会も乏しい。例えば粉体工学会は感じとして機械工学会出身の人が多く、化学工学会には影響が少なく、土木系、物理系の参加者は殆どいない。物理系に関しては本格的に取り組んだ実験グループがなかったのが痛かった。松下研は細々とパイプ流の研究を続けている程度であろう。那須野さんを失ったのは痛かった。研究の立ち上げの段階ではこれでよいが分野が成熟した段階ではこれでは太刀打ちできないのは自明であろう。

悲観的な話をしても仕方がない。明るい展望としては佐野研で大きな予算を当てて本格的に微小重力実験を行い、その計画の一翼に我々も参画しているのは期待できる。また御手洗さんのように世界的に認知され、どこに出しても恥ずかしくない若手も育ってきており、波多野君のようにこれかた地震研究と絡めて本格的に研究に乗り出す人もいる。また農工大の佐野さんがコンスタントに粉体研究を中心とした研究集会(今年も11月にある)を企画しているのも貴重である。ここ数年で面目を一新するような研究が現れることを期待したい。