粉体

に徒然なるままに思いを巡らす。昨日に書いたこととも重複するが会議で実感したこととして粉体の有効理論の怪しさと無力さである。そういう試みは多々してきたが殆どが間違っており、役に立たない。そのために粒子シミュレーションと運動論、それから固体相の弾塑性理論が伝統的に取られてきた。例えば粉体の相分離で密度だけで閉じた有効理論を作り定性的に記述することは可能だが、それだけでは相手にされないし、部分的には間違った答えを与えることになる。つまり運動論で相分離を記述することは可能だが余程注意しないと拡散方程式或いは化学ポテンシャルに逓減して現象を記述することはできない。(Boltzmann方程式からtagged particleの運動量自由度を積分して拡散方程式を書き下すことは可能である。その手続きが正当でない限りは意味がない)。

その意味でPouliquenのようにliquid phaseを独立して捉えることが可能か(或いは必要か)という点は気になる。おそらく塑性理論と運動論を用いた流体力学を使えば話は閉じる。無論、そこで次元解析で整理すると見通しはよくなるが構成方程式に特別なものを持ち出す必要があるかどうかという点では現時点では否定的である。

Edwardsの研究に関しても同様である。彼はCompactivityの概念が有効なのは、運動論的領域でも静的領域でもなく、摩擦の大きな粉体をタップして静止した状態においてであるとしている。これは静的領域と区別できないであろうし、それをタップの振幅と振動数で一意的に書けるという仮定はおそらく間違っている。

このような意見は悲観的に過ぎると思うかもしれないが、粉体を余すことなく統一的に記述し、現象を理解することは可能であると感じている。数年前に比べて粉体の特徴がはっきりしてきたのは間違いない。Couette flowの問題はもっと早く取りかかるべきだったと思うが、それを扱う機が熟したということだろう。おそらくこうしたsimple flowで粉体のレオロジーのあるべき姿がよりはっきりすると思われる。それが解決すれば流れと滑り、固体の共存を扱うことになる。