「河原ノ者・非人・秀吉」(服部英雄:山川出版社)

秀吉は非人であり秀頼はその実子ではない、というカムイ伝を思わせる設定と論証を記した2部が話題を呼んだ。評者には、その正否を判断することはできないが、「祖父物語」(清須翁物語)を信用できるとして、そこから余りにも多くを依拠しているのが気になる。しかし、分量的にも内容的にも、本書の本領は中世異能者集団としての非人、河原ノ者の風俗を描いた1部にある。