クーロン摩擦

のあるランジュバン系というのを昔、粉体ガスの(数値)実験を説明するモデルとして考えた事がある。その論文はこれとか、これである。それなりに独創的かつ一般的だと思ったのだが、このプロジェクトを推進する立場の学生があまり学校に来ない上にPhysica Dの論文に対して否定的なMaugerの論文が出るに及んで興味を失った。

 時を経て、クーロン摩擦の論文が密かに(ほんのマニアックな)注目を集めつつある事に気がついた。何故だろうと気にとめていなかったが、どうやらGranickの実験論文実験と理論が一緒に書かれた論文等がぼちぼち出始めて、最近ではMenzel and Goldenfeldとか,Haenggiの論文とか, Peter Sollichの論文とか知り合いが関連した研究をするようになってきている。(言うまでもなくNigelはIllinoisでのホストであり、Menzelは京都に現在滞在している)。Granickの記事を10年程前に翻訳したこともあるし、2月のソフトマターではこの話をしたのだが、所員会議で聴けなかったのはかえすがえすも残念である。それはともかく、他にもクーロン摩擦の方向依存性を利用して効率の良い分子機械を作ろうという研究は一定数あり、Talbot等のGranular motorの論文は要注目である。何はともあれ、こうやってクーロン摩擦に潜在的興味があるのは興味深く、それが敬愛してやまないde Gennesの最晩年の論文とほぼ同時期に独立に出版していたのは嬉しいものである。それだけでなく金澤君が中心になって研究している非ガウスノイズの確率過程としてポアソン過程以外の例として相応しく応用上重要になる実例になっている。

 ということで備忘録代わりにクーロン摩擦の関連文献を整理してまとめてみた。4月から折に触れてこの系をいじってみたいと思う。