統合問題について

日本物理学会2009年秋季大会インフォーマルミーティング
「PTPとJPSJの統合問題について」(9月11日17:30−19:30)
への参加呼びかけ

わが国の現在の物理学の欧文学術誌は、Progress of Theoretical Physics (PTP)
とJournal of Physical Society of Japan (JPSJ)の2誌があり、戦後の混乱期に
それぞれ創刊されました。しかし、PTPは、朝永や小林・益川のノーベル賞対象論文
を掲載するという輝かしい歴史を持ちながらも、近年その購読会員数(雑誌配布数)
のみならず、投稿論文数が相当に減ってきており、かなり厳しい状況にあります。
一方、物理学会の「正規」の欧文誌JPSJも、同様な傾向を免れず、わが国からの
重要な論文が必ずしも投稿・掲載されていません。

さらに問題は、この2誌が奇妙な棲み分けをしていて、日本の物理分野全体をカ
バーしているわけではないことです。JPSJは、物性分野も凝縮系の一部のみに片
寄っていますし、Progressも、素粒子原子核・宇宙の理論関係みです。そのた
め、近年めざましい成果をあげてきている日本の素粒子原子核実験などの分野
の論文は、日本の雑誌に受け皿がなく、全てが欧米の雑誌に流れてしまう状況に
なっています。

このような状況を打破し、JPSJとPTPを「統合」して日本の物理学会が出す総合
英文学術誌として新しく再定義し、アメリカのPhysical Reviewのごとく、日本
発の良い物理学の成果は、もれなくカバーする雑誌としよう、ということを今、
物理学会とProgressの間で話を進めています。

しかし、この動きが意味を持つためには、物理学会の全ての人たちがその意識を
共有し、新しい物理学会欧文誌をもり立てて行くことが先ず必要です。今回の秋
の分科会(六甲と熊本)でのインフォーマルミーティングは、そのための第一弾
の話し合いの場です。PTPやJPSJの現状を先ず報告し、現在の物理学会での話し
合いの状況を紹介すると共に、物理学会の皆さんのご意見を広くお聞きしたいと
思います。是非多くの方々のご参加をお願いいたします。

(来年春の学会では、この問題についての総合シンポジウムを持とうと計画して
います。)

日時:2009年9月11日 17:30−19:30
場所:甲南大学 物理学会SJ会場
会合次第:
1.PTPの現状と問題点(20分) 九後 太一
2.JPSJの状況と物理学会欧文誌「統合」(20分) 奥田 雄一
3.素粒子原子核実験と日本物理学会欧文誌(20分) 永宮 正治
4.一般討論(60分)