雨が降り始めた

のでワンジルが快勝したマラソンについて少しコメント。何時も夏マラソンはスローな耐久レースであったので見ていて面白くなかったが、昨日のマラソンは積極的にワンジルとレルの2人がレースをリードしてハイペースのレースを演出し、見ていて面白かった。(日本の新聞の記事はまるで分析的でなくどうしようもないが)IAAFの記事は大変興味深い。スピードのあるケニア人のマラソンランナーがなかなか五輪で活躍できず、過去にメダルを取ったのは日本にいたワキウリとワイナイナのみで、この二人は日本人ランナーよりスピードがなかった。これまでの失敗は素人目にも序盤の遅いレースで消耗し、勝負所では既に力尽きていたためである。今回、ワンジルとレルは意図的に前半のペースを上げて、何時も彼等が馴染んでいる都市マラソンと同じ状況にしたのである。もともと、ロンドンマラソン等の都市マラソンでは、尾方のような日本人や大多数の欧米人はレース前に公表される第一集団のペースにつくことすら選択できず、最初から第二集団以降で優勝争いと無縁のレースになる。勿論、通常のレースでは涼しい中で30キロまでペースメーカーが誘導してくれるので、真夏の五輪で自らペースメーカーになってレースをリードするのはすごく消耗するため、その決断には勇気が要ったに違いない。しかしそれ故にワンジルは、キロ3分を上回る高速マラソンを実現し、結果的に圧勝することが出来た。結果的にレルは終盤失速し、5位に終わったがワンジルと共にその勇気は称えられる。またカレンジンとキクユの民族間対立を超えて共同でレースをリードしたのは感動的ですらある。結果として日本にいるケニア人しか五輪でメダルを取れないというジンクスは残ったが、既にイタリア人のロザの下でレル等とトレーニングをしているワンジルの成功が日本式トレーニングの有効性を示している訳ではない。寧ろ、ワンジルと雖も、森下コーチの下では今回男女代表6人中4人が故障していたのと同様に深刻な故障を逃れられなかったことを重く見るべきであろう。

 うーん。雨が止みそうもない。バスで帰るか。