ノーベル物理学賞

のことが昼食会で話題になっていた。COBEに関する受賞は下馬評に挙がっていた通りで妥当だと思うが、誰が貰うべきかについては議論も多いのではなかろうか。少なくともCOBEという衛星名に比べてこの2人の知名度は落ちる。

ノーベル賞のプレスリリースの詳しい方に書かれていた通り、COBEが上がるまでは若干の混乱があった。特に1988年のAstrophys.J.に出版された松本他の論文がBlack-Body Radiationには大きな補正がつくと報告したから大騒ぎになっていた。この論文は名大U研とUCBarkleyの共同チームによるものであったが、(冷却用の液体ヘリウムが漏れたとかなんとかで)ディテクターからの熱放射を拾っていたことが3K輻射と別のピークの出現をもたらしたこととなっている。(結果として誤報であった)この論文を受け、多数の理論の論文も書かれ、特にHoyle等の定常宇宙論のグループは反Big-Bangの論文を書き大いに注目された。この辺りの事情はショーンの捏造論文に続いた理論家の大量のジャンクペーパーの出現を思わせる。同時に影響力のある論文であればあるほど間違った結果のもたらす混乱の大きさを思い知らされた。COBEの打ち上げが1989年で最初の論文が90年だから、その直前にこのような大きな混乱があり、それを収拾したことは大きな意味を持ったと思う。