トリノ五輪

も中盤を過ぎたが、予想通りというか懸念通りメダルはゼロである(2月9日の日記参照)。今回はおそらくメダルゼロで終わるだろうが、マスコミはこの期に及んでも強気の予想を崩さない。もはや情報操作を通り越して神頼み状態にも見える。

今回男子のスピードスケートの500以外はよほどのことがない限りメダルは取れないだろうと予想していた。もう一つ可能性があるとすれば女子フィギアであるが、選考のごたごたと、その後の選手の練習ぶり(曲目や振り付けの変更)を見て、あまり期待はできないというのが正直なところであろう。最もメダルの確率が高かった加藤は不安定要素があり、その予想もずばりと的中してしまった。ひそかに及川がサラエボの北沢の代わりをつとめるのではないかという予想は惜しくも外れたようだ。今年に入って調子の上がらなかった上村、岡崎は予想以上の健闘であろう。ハーフパイプはあそこまでひどいとは思わなかったがW杯にアメリカ選手が出ていないだけでなく成田兄弟は家族やスポンサーのごたごたで期待できないことは予想通りであった。Wカップで2回目にも進めないことが多かったジャンプに期待するのはどうかしている。

このようなことは新聞の結果だけを見ておけば予想できるのであって、ありえないような成果を予想するのは犯罪的ですらある。というのは見通しの甘さというのはオリンピックのメダル予想程度であれば実害はないのだが、(景気変化が予想できなかった重点化は道場の余地があるにせよ)ポスドク1万人計画のような愚策を立てる際に甘い見通しに立脚し暴走してしまったからである。(神戸空港も同類であろう。神戸空港が生き残るとすれば20人乗り程度のプロペラ機を高頻度で運航するしかないと思う。アメリカではそういう飛行機が多数があるので、同じ都市内で空港の共存が可能だが、日本では発着便数を減らした大型機の就航のみである。そうしたら同じ兵庫県内に2つの空港があり、海を隔てて高速艇で30分で行ける場所に国際空港がある立地では成り立たないのは自明である)。

予想のまずさともう一つあげられるのは長野五輪と主力選手が同じである点である。後継者が育っておらず世代交代が進んでいない。今回の若手が谷間であればよいが、今後更に弱体化する可能性はかなりある。実際、景気の後退と少子化の影響を受けてスキー場、スケート場は閉鎖が相次いでおり、投機スポーツの裾野は確実に狭くなっている。更に若年層の体力の低下も気にかかる点である。致命的なのは北海道経済の不振で一流選手を支える企業スポーツ部が崩壊したことである。こうした社会構造の変化を考えると今回の不振は今後も続くというのが常識的な見方である。もっとも札幌の前にメダルはコルチナダンペッツオの猪谷千春だけであり、76年のインスブルックでは6位入賞もできなかったので元に戻っただけのことである。今後なすべきことはそういう弱体化を踏まえて無駄に多数の選手を送らず、マスコミは冷静な戦力分析をしなければならない。