粉体と液体

私は元々混相の問題から粉体に入ったので混相の問題が徐々に重要度を増しているのをある意味で必然と思っている。しかしその一方でよほどのことがない限り、再び手を出すことはないと思う。何故かを語る前に10年前にUrbanaにいたとき、Nigel GoldenfeldがSid Nagelにcontactを取って混相の問題をやるかと訊いたところ言下に可能性を否定したことを思い出す。実際、その後もChicago groupはdry granular materials一辺倒である。理由は単純明解で、dry granulesでやるべきことが一杯あり、dryでも何一つとして分かっていないからである。では何故、最近混相の問題に興味を示す人が増えてきたかと言えばこちらも単純な理由で、dryで簡単に調べられることは大体調べられたからである。勿論混相にすれば劇的にレオロジーその他は変わるが同時に粉体の特徴を失わせることにもなることに注意すべきであろう。例えば流動層の問題は混相流の問題であって、およそ粉体らしくない問題であった。間隙水にしても全体として流動しやすくなるためにある意味通常の流体っぽい応答をする。現象論としては今書いた通りだが構成要素から積み上げて理論を作ろうとするともはや絶望的である。おそらくは理論家にとっては未だに敬して遠ざける題材なのだと思う。しかし実験家(や数値計算屋)にとっては入れ食いの題材だからどんどん研究を進めるべきであろう、